芸術と科学が融合したビジュアルパン：「フローラ」

シンシア・ターナーによる医学イラストレーションの新境地

シンシア・ターナーは、医薬品やバイオテクノロジー産業の広告・マーケティング分野で活動する認定医学イラストレーターです。彼女の作品は、科学的な事実を芸術的に視覚化し、視覚的なストーリーテリングを通じて科学をより身近に感じさせることを目指しています。

「フローラ」は、消化管内に存在する腸内フローラが花のように咲き誇っているという視覚的な洒落を表現した作品です。ターナーは、腸内に存在する様々な細菌を3Dモデル化し、それらを組み合わせて花を構成しました。花びらはバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、エンテロコッカス・フェカリス、花柱はラクトバチルス、葯はエンテロコッカス・フェカリス、茎は大腸菌で構成されています。

この作品は、Cinema 4Dという3DモデリングプログラムとPhotoshopを用いて制作されました。また、作品の制作にあたっては、腸内に存在する一般的な細菌、いわゆる腸内フローラについての研究が行われました。電子顕微鏡で撮影されたこれらの細菌の画像を参考に、3Dモデルが作成されました。

花としての形状と、細菌としての特性を両立させることは、創造的なバランスを求める挑戦でした。しかし、ターナーはこの挑戦を見事にクリアし、視覚的な洒落と科学的な事実を融合させた新しい医学イラストレーションを創出しました。

「フローラ」は、2020年のA' Graphics, Illustration and Visual Communication Design AwardでIron賞を受賞しています。この賞は、プロフェッショナルで実用的な要件を満たし、業界のベストプラクティスと優れた技術特性を統合した作品に贈られます。

このような作品を通じて、ターナーは自身のクリエイティビティ、芸術性、科学的な視覚表現力をアピールしています。彼女の作品は、医学と芸術が融合した新しい視覚体験を提供し、視覚的なストーリーテリングを通じて科学をより身近に感じさせることを目指しています。